Cutters Studios Los Angeles issue 02

サンタモニカのクリエイターたちのワークスタイル

California2017.10.24 Tue.

映像のポストプロダクションに特化した気鋭の映像制作スタジオ、Cutters。全米に4ヶ所、日本でも東京に1ヶ所のオフィスを構えるCutters のロサンゼルス・オフィスをサンタモニカに訪ねた。

映像のポストプロダクションに特化した気鋭の映像制作スタジオ、Cutters。全米に4ヶ所、日本でも東京に1ヶ所のオフィスを構えるCutters のロサンゼルス・オフィスをサンタモニカに訪ねた。エグゼクティブ・プロデューサーのメーガン・ダールマン(下写真)が、業務内容を次のように説明する。

「TVCMなどの映像素材をエージェントやディレクターから受け取り、編集作業を行うのが私たちの仕事。ストーリーを的確に伝えようと考えると、編集によって映像は見え方が大きく変わってくるし、色合いなどのフィニッシングもとても大事な作業なの。うちに所属するエディターたちが、エージェントとのコラボレーションによって最高の作品に仕上げ、最終的にクライアントの満足を目指して日々作業を行なっているわ」

かつては、こうした映像制作や広告制作のオフィスはハリウッドに集中していた。1990年代の半ばから多くの企業がサンタモニカに移転してきて、現在は多くの広告がこの地で生み出されているという。

「みんながビーチの近くで、リラックスしたムードの中で制作したいと思ったのかしら? それは冗談だけど、気がついたら広告制作の街になっていた、って言えるぐらいにサンタモニカにはプロダクションやエージェントが集まっている。クリエイションに向いている環境なのかもしれないわね」

エディターの一人であるアダム・パーカー(下写真)は、ロサンゼルスのワーキングスタイルについてこう語る。

「他の多くの都市と比べて、LAはカジュアルな環境と言えるだろう。Cutters Los Angelesの朝は比較的ゆっくりしていて、まあ終わりの時間も結構遅い。言い換えれば、自分たちのペースで仕事をしやすいオフィス環境だ。それと、LAは全体的にカジュアルな街だから、今日もそうだけど、大体はどんな場所でもTシャツを着て行ける。そういうレイドバックした環境は、LAの特徴の一つだ」

とは言うものの、作業は緻密だ。この日、アダムは節水のPR映像を編集していたが、音楽の合わせ方やスローモーションの取り入れ方、カットを変えるスピードやタイミングをどう変えるかによって、映像の印象がまったく変わってくることを示してくれた。

「映像の素材を受け取ると、そのストーリーの伝え方として編集方法は無数にあることがわかる。例えば、会話の“間”の取り方によって、同じ内容でもコミカルに見えることもあればシリアスに見えることもある。そして、音楽も含めて編集を完了させると、次は仕上げとして、フィニッシャーに作業を受け渡すんだ」

そうして紹介してくれたのが、隣の部屋で作業をするブレイク・ヒューバー(上写真)だ。

「画面に映り込んでいる不必要な要素を取り除くようなレタッチの作業をしたり、タイトル周りのグラフィックを仕上げたり、色の調整作業を行ったり、CGや合成処理で映像を加工するVFXを行うのが僕の仕事だ。アダムなどエディターが編集してくれた映像をできるだけ美しい映像に仕上げることで、クライアントにとってもエディターにとってもハッピーな仕上がりになる。そこにやりがいを感じるね」

ブレイクが着ているのは、Cutters Studiosの一部門で、デザインやVFXを担当するFlavorのTシャツ。「デザインを気に入っているし、カラフルなバリエーションで自分たちがどういう会社なのかをTシャツに表現しているのは、いいブランディングだと思うよ」と、笑顔を見せる。

「僕はこれまでのキャリアの大半をニューヨークで過ごしてきたから、LAに来て色々と違いを感じている。メンタリティとして、NYの方がアグレッシブで、LAの方がリラックスしている。もちろん、どっちの都市の方がよく働くとか、その量や質での優劣はないと思うけど、この太陽のおかげなのか、LAの方がハッピーでちょうどいいペースで物事が進んでいるように思う。年間を通してTシャツで働けるのも、NYでは考えられないね」

ランチタイムには、社員たちみんなでオーダーしたデリカテッセンからヘルシーなメニューが届き、午後のティータイムには手作りのスイーツが用意される。間違いなく仕事量が多く、忙しいオフィスなはずだが、そのワークスタイルからはどこか余裕が感じられる。

次回は、Cuttersでの仕事の様子を収めたショートドキュメンタリーを公開する。

写真・文:中島良平

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