音楽とTシャツ
vol. 24 Rei
Music2020.10.19 Mon.
音楽というか、ミュージシャンとTシャツは切っても切れない関係性にある。ライブをするときの衣装として。オーディエンスと共鳴するための強力なツールとして。そして自らを表現するためのカンバスとして。これからの日本の音楽シーンをリードしていくバンドマン、ボーカリストなど期待のミュージシャンに「譲れない一枚」を着てきてもらい自らの言葉で紹介! 天才的なギターテクとメッセージ性に裏打ちされたヴォーカルで魅せるReiの2枚目は、ハードコアなギタリストらしいセレクト。
これはビッグマフという有名なギターファズのエフェクターのオフィシャルTシャツです。ある日、私物のビッグマフの写真をインスタグラムにアップしたら、ビッグマフを製作しているメーカーであるエレクトロハーモニクスの方がリプライをくれて。そこからメル友になって「ニューヨークに来たときは工場を案内するから遊びにおいでよ」と言ってくれて。2017年に実際にニューヨークでライブに行く機会があり工場を訪ねたんです。このTシャツはそのときにプレゼントとしていただいたものなんです。
エレクトロハーモニクスの工場はクイーンズ区にあって、そこはまるでマーベル映画のような工場地帯でした。あやしげなレンガ造りの建物で1階には巨大な鳥小屋があって、インコが大量に羽ばたいていたのも印象に残ってます。工場を案内してくれたのは広報のマイクという人なんですけど、社長の名前もマイクでした(笑)。社長はお茶の水博士のようなビジュアルでとてもキュートな人でした。工場見学をしながらエフェクターをいただいて試奏部屋でギター弾いたりしてすごく楽しかったです。社長のマイクに「明日、工場のみんなの前でライブをやってほしい」と言われたんですけど、ちょうど翌日がライブの本番だったので叶わなくて。それが唯一の後悔なのでいつかエレクトロハーモニクスの工場でライブをしたいと思っています。
今は新型コロナウイルスの影響で有観客のライブができない状況ですが、新曲の制作は続けています。コロナ以降、リモートワークをはじめ遠隔でもできることがたくさんあるという発見があった一方で、やっぱり人と人が顔を突き合わせたり、肌と肌が触れ合ったり、音楽においてもスピーカーから鳴る音の振動を耳で捉えたりすることの代替品はないんだという確信を誰もが得たと思うんですね。これまでの私は整理整頓された演出も芸術の中で重きを置いてきたし、今後もそのバランスは大切にしていくと思うんですけど、これまで以上に人肌を感じられるような、その人の隣で音楽を奏でているような生々しさを楽曲に込めていきたいと思っています。
Rei
兵庫県伊丹市生。幼少期をNYで過ごし、4歳よりクラシックギターをはじめ、5歳でブルーズに出会い、ジャンルを超えた独自の音楽を作り始める。2015年2月、長岡亮介(ペトロールズ)を共同プロデュースに迎え、1st Mini Album『BLU』をリリース。以降、国内外の名だたるフェスに多数出演。2020年4月、 専門学校 モード学園(東京・大阪・名古屋)2020年度TVCM曲「What Do You Want?」をリリース。
https://guitarei.com/photo & text : Shoichi Miyake