SUNDAY RACE in Los Angeles issue 01
カリフォルニアの“サンデー・レース”カルチャー
California2017.8.3 Thu.
アメリカに根付いたサンデー・レース・カルチャーを取り上げる。バイクを趣味とした俳優、スティーブ・マックイーンが手がけたドキュメンタリー映画『On Any Sunday』に描かれた世界が、ルート66沿いのレース会場で繰り広げられていた。
ROUTE 66 OLD SCHOOL VINTAGE SCRAMBLE
バイクを趣味としていた俳優、スティーブ・マックイーンが資金を提供し、自身を含む多くのライダーたちの姿が収められた『On Any Sunday』(1971年)というドキュメンタリー映画がある。アメリカのモーターレース・カルチャーを映し出し、アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門にもノミネートされた名作だ。タイトルを直訳すると、「どんな日曜日でも」。つまり、全米各地では毎週日曜日、どこかしらのレース場でバイクレースが開催されていて、そこに仲間や家族が集まって参加するカルチャーがあるのだ。
取材で訪れたのは、ロサンゼルスのダウンタウンから車で3時間ほどに位置するダートトラック。全米を横断した伝説的な旧国道であるルート66沿いの会場で、旧車乗りたちが集まるヴィンテージ・スクランブルが開催されるという。オレンジのパーカーにカウボーイハットが印象的なレース・ディレクター、ランス・ブラウン(上写真)が概要を説明する。
「アメリカでモトクロスがポピュラーになっていく最初期、1960年代半ばから70年にかけて行われていたタイプのレースをここに再現する。ストリートでも走るようなバイクが集まり、ダートトラックであまり高すぎないヒルなどを飛んだりして、周回を競うレースだ。見ての通り、当時を懐かしむような70歳以上の高齢のレーサーからその孫にあたるような若い世代までが参加し、とても盛り上がっている」
そう、カリフォルニアの“サンデー・レース”は、週末に家族で楽しめるイベントなのだ。親子のみではなく、3世代で来場している参加者も数多い。イベントの企画と運営を行うSouthwest Vintage Committeeにて、夫婦でプロデューサーを務めるグリーンヒル夫妻の妻であるタミ(上写真左)が、世代を超えた交流についてこう語る。
「私の父は、60年代に活躍した伝説のレーサーとも呼ばれるジョン・ライス(上写真中央)です。毎回のレースで、記念にTシャツを制作しているのですが、今回は実現に協力してくれた12社のスポンサー名とあわせて、当時レースで走っていた父の姿をプリントしました。当時のレースのスタイルをみんなで楽しみ、レジェンドへの敬意をみんなで共有できる。Tシャツでそれができるのは素晴らしいことだと思います」
次回は、来場者たちの声も交えながらイベントをリポートする。
Southwest Vintage Committee
http://www.oldschoolscramblesracing.com写真・文:中島良平